また、専門家による最近の研究で、従来とは変わりつつある歯磨きの新常識や注意点も判明してきています。
<食後は歯磨きをするまで30分ほど時間を置く>
虫歯、歯周病に続く第3の歯の病気として注目される「酸触歯(さんしょくし)」。
この酸触歯とは酸性の食べ物・飲み物によってエナメル質が溶けてしまう状態をいいます。
食生活の欧米化に伴い酸性の飲食物が増えた日本でも6人に1人は何らかの症状があるとされ、また、タイミングを間違えた毎日の歯磨きが歯のすり減りを加速させることも分かってきました。
口の中が酸性になったとしても、唾液の力で中和され溶けたエナメル質は復活します。
ただし、それには30分ほど時間がかかるので、食後すぐに歯をゴシゴシと磨いてしまうと、軟らかくなったエナメル質を削り落としかねません。
自分の食事が酸性かを見分けることも難しいので、食後の歯磨きを30分ほど置くのが安全策といえます。
さらに、ダラダラ飲食を控える、酸性と分かっている飲み物はストローで飲む、飲食後は水やお茶で口の中を軽くすすぐといった予防策があります。
<なんとなく3回磨くよりも1日1回>
口の中の食べカスが歯垢になるまで48~72時間かかるため、毎食後に歯を磨けなくてもまだ間に合います。
寝ている間は唾液が減って口の中の菌が増えやすくなるので、寝る前に徹底的に汚れを落とすことが効果的です。
<歯磨き粉はたっぷりと>
歯磨き粉についても考え方は変わってきました。かつては研磨剤が歯を傷つけることや、素早い泡立ちが磨けた気にさせることなどで否定的な意見が多かったのですが、最近は技術の進歩で研磨剤なしでも汚れが落とせるようになり、歯を丈夫にするフッ素入りも増えました。成分表を見れば簡単に分かるのでフッ素を大いに活用すべきです。2センチメートルの大の歯ブラシのヘッドなら、その3分の2ぐらいにたっぷり歯磨き粉を絞り出して歯茎に塗り込む感覚で使いましょう。
水で流れないように磨いた後の口のすすぎは最小限に抑えましょう。低濃度でも歯は長時間フッ素に接することで効果があるので毎食後に歯を磨ける人は歯に小まめにフッ素を与える機会になります。
<最後はプロの手によるメンテナンス>
時には、プロの手を借りて日々の手入れが行き届いているか確認することも必要です。
歯石取りも兼ねて、半年に一度は歯科医院で状態を確認してもらいましょう。
※歯磨きの新常識 2012年2月11日(土)日経新聞記事参照